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転ばぬ先の知恵
高齢化社会の問題として挙げられる寝たきりの方の介護がいつも問題にされます。 この寝たきりになる原因の多くを占めるのが転倒による骨折です。
「年とったら足腰が弱るのは当たり前」という声もあります。転ぶのは仕方ないことなのでしょうか?

下半身の筋肉の強さを年齢別に比べてみると、脚を伸ばす筋肉である大腿四頭筋が70代になると20代の半分の力しか残っていません。これは他の筋肉、例えば脚を曲げる時に使うハムストリングス筋などに比べて著しい老化ともいえます。

ではスクワットや自転車こぎ、などをして脚を伸ばす訓練をして鍛えれば転倒は防げるのでしょうか? スクワットの無理な高齢者にはおもりやチューブを使って脚を伸ばさせる訓練をしたら、安心して歩くことができるのでしょうか?

それに答える前に転倒はどういうときに多いか考えてみましょう。
A、風呂場ですべる。
お年寄りでなくともこれは時々起きていますね。

B、道や家の中を歩いていてけつまずく。
私も整形外科に勤めていたので、実際こけた患者さんからよく話を聞きました。この場合たいがいの方がこう言います。「なんでもないとこやったのになあ」「大した段差でもなかったのに」

大きな段差なら警戒して足を高く挙げますからこけません。歩道や畳の見えにくいちょっとしたふくらみに足をとられて転倒するのです。さてこれらの事故はどうすれば予防できるのでしょうか。

まずAのケースですがこれは体が傾きかけた瞬間に素早い反応ができるかどうかにかかっています。多くは後ろ側に転びます。その時どうやって持ちこたえるか、順をおって見てみましょう。

1・重心を前に戻すように努めるが間に合わず、浮いている側の足(右とします)を後に引く。
2・後に引いた右足がベタッと床について踏ん張る。
3・左足が床から離れかけているのを耐えて、体幹を右足にぐいっと引き寄せるようにして元の姿勢に戻す。

同様にBのケースを考えて見ます。

1・けつまずいた側の足を地面から離す。
2・けつまずいた場所より前に踏み出す。
3、着地して踏ん張る。

A,Bともに1.2の段階では脚を伸ばす大腿四頭筋に出番はありません。むしろ働いてもらっては邪魔です。3で初めて四頭筋が働くことになります。しかし転ぶ時というのは一瞬で、3の段階でがんばる余裕はほとんどありません。

重要なことは倒れる直前になって踏ん張る力ではなく、体の軸が揺れた瞬簡に素早く反応できるかどうかなのです。

「そう言われたって、もう反射神経が鈍くなって転ぶのは仕方ないじゃないか」
確かに若い時に比べたら反応スピード自体は遅くなっているでしょうが、ここで思い出していただきたいのは四頭筋は加齢で弱ってくるのに対して、ハムストリングス筋は力が残っている方だと。

もともと大腿四頭筋は踏みしめた後ぐいーっと力を込める運動には適していますが、スピーディな動きは苦手なのです。逆に脚をまげるハムストリングス筋は力を弱いものの速く動かすことは得意です。転びそうになったときに足を素早く動かす筋肉、つまり本当に頼りになる筋肉は、まだそう弱っているわけではないのかもしれないのです。

そういう意味
で実はハムストリングス筋より大事な筋肉があります。
腸腰筋という筋肉です

腸腰筋とは背骨の前面から太腿の前に伸びる大腰筋と、骨盤から大腿に着く腸骨筋を合わせて呼んだものです。これは非常に力の強い筋肉で、太腿を挙げたり背骨をシャンとさせて体のバランスをとるのに活躍をします。これが良く使えている人は下腹がぐっと横に張ってしっかりしています。

この腸腰筋とハムストリングス筋ををうまく使えれば、運動時のバランスがとれ、素早い反応を取ることも可能になります。

腸腰筋のエクササイズとしては次のような方法があります。

1.なだらかな坂道を登る。
実際は平面を歩くだけでも、うまく行なえば腸腰筋を動かすことができますが、少し傾斜があるほうが強制的に使うようになります。

2.止まったままで行なう方法
これもハムストリング筋を同時に使います。壁の前やベッドの桟など両手で体を支える場所があるところでします。両手で支えながら脚をそろえてまっすぐ立ちましょう。

1、先ず右足の膝から下をそろそろ後に引きます。そのとき決して右膝が左足の前に出ないように注意します。
2.つま先が浮いてきたらそのまま右足を前に持ち上げます。膝頭が内向けよりに上がってきます。
3.足を元の位置に戻し反対側もおこなう。

注意点
片足での立つ時の姿勢が問題です。浮かせる足の膝頭を前に出さないことと、頭の位置が両足立ちの時より低くならないようにします。むしろ若干高くなったようになります。これはどういうことかといいますと、左足だけで立っている時に、後ろから見るとひらがなの「く」の字に体が曲がる方がいます。右の骨盤が地面の方に下がり、左足の股関節が「く」の曲がり角になっています。もしそうなっていることに気がつきましたら、ぐいっと右の骨盤を持ち上げて、重心を左の足のくるぶしあたりに持っていくつもりで立って下さい。

3.他にもこんな方法
2の方法は安全ですが退屈です。また体全体のインテリジェンスを高めるには、もっと目的性のある動作の方が望ましいといえます。その意味で最近は身体操法としての
舞踊古武術が見直されてきているわけですが、それもいきなりはきついという方もいらっしゃるでしょう。

では
詩吟カラオケはどいうでしょうか?実はこれも立派な訓練になるのです。声量、声質を自由にあやつるには体幹の深部の筋肉の活躍が欠かせないからです。実際詩吟や歌唱や楽器(笛、管楽器)の演奏に秀でている方は、歳をとっても非常に元気です。「やりがいを持って生きている」からだけの理由ではなく、外から見えない筋肉の強さが充実していることもその理由の一つなのでしょう。
ここで詩吟や歌唱の役に立つ下腹の力を充実させる最も簡単な方法をご紹介いたします。

息を吐く時にそのまま吐かずに一度歯と唇の間に空気を溜めるようにしてください。そして出来るだけゆっくり息を洩らしていくようにします。「ぷぅ」という音が出そうになりますね。これ以上吐ききれないというところまで吐いたら、口を閉じましょう。そうすれば鼻から空気が自然に入ってきます。
これを繰り返すだけなのですが、息を吐く時にお臍の下がしっかりしてくるのがわかると思います。その割にはお臍の上のほうはあまり固くなりません。これがいい状態です。



1.高槻市在住の65歳以上の方へ
鍼、灸、マッサージ施術費助成のお知らせ
・これは高齢者の方が鍼、灸、マッサージ施術をうけられる場合に、その施術費の一部を市が助成する制度です。
・7月1日より来年3月31日までの9ヶ月間に、3回のみ施術が受けられます。
・高槻市に在住し住民登録されており、申請時に65歳を超えられている方が対象です。

手続きなど詳細は高槻市役所の高齢福祉課(TEL674−7185)で聞くことが出来ます。また当院にてお聞きいただいても結構です。

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